「ミカヅキさんと解り合いたいんです。」
介助者が云い、
わたしは解り合いたくなんか、ないと思う。
侵入(はい)って来ないで、と。
誤解されるのを畏れずに、ぶっちゃけてしまうなら、
介助者には手足になってもらいたい。
友達になりたいわけぢゃない。
嗚呼
ATフィールドが邪魔をする。
わたしは思う。
四肢麻痺になる前にも、
自意識の問題は常にわたしから離れなかった。
ATフィールドとは、『新世紀 エヴァンゲリオン』に出てくる
個人を個人たらしめている境界の膜のこと。
「寝てないミカヅキさんを寝てないわたしが連れて行くのは、」
介助者が云い、
「連れて行く?」と、
わたしはひっかかりを覚える。
横になって、枕をした後に、お茶が飲みたくなってしまい、
「先に云えば、善かったですね。」
と云ったら、
「ミカヅキさん、そこだと思いますよ。」
と云われた。
「何がですか?」
「いろんなヘルパーさんが困るの。」
云いたいことは判るのだけど、反発を覚えてしまう。
わたしは云ってみる。
「でも、Gさん(自立生活センターの人)は、それで善いと云っていましたよ?
二度手間、三度手間になろうが、時間の中だったら仕事なのだから、何度でもやってもらえば善い、と。」
「そりゃ、Gさん(自立生活センターの人)がそこを否定したら、嘘だと思うけれど、」
納得していなそうに、介助者が云う。
この介助者に最近、傷つけられていることに、わたしは思い当たる。
それで、そのことを云う。
介助者からは、膨大に反応が返ってくる。
わたしは、そのあまりの膨大さにくらくらする。
もはや、云い訳にしか、聞こえない。
そう云う。
「情報量が多すぎて、苦しいです。周辺の例ばかりで、云い訳にしか聞こえません。」
「わたしはいろんな例を持ってくることで、ミカヅキさんと解り合いたいんです。」
頼むから、侵入(はい)ってこないで。
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